岩と雪とそれがし

山についての思索を綴ります。

完結された青春 中嶋正宏遺稿集

7/13

死んだ時のために。

僕の考えは、このような日記に似た形式で書き留めているが、全てではない。十分とはいえないまでも、僕を理解するうえにおいて参考になると思う。これらの文章は、他人に読ませるものではないので、興味はわかないかもしれないが、書いてあることの意味を考えてみて欲しい。そこには稚拙ながらも得るところの大きいものがあると思う。

小学校のそばの上竹整骨院の先生に、僕が死んだと伝えて欲しい。もちろん僕が本当に死んだ場合に限る。

「気をつけなさいよ」母親が僕に言うおきまりの文句だ。切実ではあるが貧弱な言葉だと思う。山に行く息子を心配する気持ちはわかるが、あの言葉には、何の具体性もなく、説得力に欠ける。僕の行動を理解できないから当然のことなのだが、同時にあの言葉の裏にある母親の気持ちを"説得力がない"として考えもしなかった、僕の心の貧弱さも感じる。